第25章 紹介 ✴︎
「お前、いつの間にケーキなんて…」
『今日たまたま学校で調理実習があって
上手に出来たから赤井さんにも食べて欲しかったんです。』
「…。」
2切れあるスクエア型のチーズケーキを半分に切り
4切れに増やしてお皿に乗せていると
赤井さんが私の後ろに立ち、耳元で囁いてきた。
「あまり可愛いことを言うな……
キスしたくなる。」
『っ…!?!?』
この人は…本当にいつも心臓に悪い事を言うんだから!
すぐ近くに優作さんと有希子さんがいるのに……!!
でも赤井さんがそう思ってくれるのは嬉しくて…
返事をする為に赤井さんに手招きをして
少し屈んでもらい彼の耳元に口を寄せた。
『後でたくさんして下さいね?』
「っ…!!」
驚いて固まってしまった赤井さんに
ベーっと舌を出してから私はケーキとコーヒーをお盆に乗せて優作さんと有希子さんの元に向かった。
「あらあら、
美緒ちゃんコーヒー淹れてくれたの?」
『はい!よかったら少しですけどケーキもどうぞ!』
2人にチーズケーキの乗ったお皿とフォークを出すと
すぐにパクッと一口食べてくれた。
「美味しいわね〜このケーキ!どこで買ったの?
また買いに行きたいからお店教えて!」
『えっと、実はそのケーキ…』
「有希子さん、これも美緒の手作りですよ。」
「っ、えぇ!?」
いつの間にかわたしの背後に立っていた赤井さんの言葉に
とても驚いている優作さん
と有希子さん。
……お店のものと勘違いしてくれるなんて
私にとってはとても嬉しい言葉だった。
『実は私…前世では料理人だったんです…
パリで修行していた時もあったので
このベイクドチーズケーキは私のオリジナルのレシピで作ったものなんですよ。』
私が生まれ変わってこの世界に来たことをすでに知っている2人は、私の話を聞いてすぐに納得してくれた。