第25章 紹介 ✴︎
「優作さん、有希子さん。
彼女が俺の恋人です。以前少しお話ししましたよね。」
「確かに聞いてはいたんだが…
まさかこんなに可愛らしい方だったとは。」
『えっ…いや、そんな…』
「ふっ、そうでしょう?
俺もコイツが可愛くてたまらないんです。」
『!?ちょ、っと赤井さん!何言ってるんですか!』
「本当のことだ。照れるなよ。」
『もうっ!人前で恥ずかしいんですよ!!』
真っ赤になった顔で赤井さんを睨んでいると
工藤夫妻は揃って笑っていた。
「本当に美緒さんって可愛いわね〜!
2人とってもお似合いみたいだし!
ねぇねぇ、美緒ちゃんって呼んでもいい!?」
『え?あ、はい。どうぞ。』
とても明るい性格の有希子さん…
そういえばこの人って…女優の藤峰有希子さんだよね…?
元芸能人なだけあってめちゃくちゃ美人だ…目の保養。
「すみませんね美緒さん。
妻はこの通り陽気な性格でして…。」
困ったように笑っている優作さんは
有名なミステリー小説家。
工藤新一くんにちょっと似てて、すごくダンディーな人だ。
和やかな空気のまま会話をしていると
優作さんが私に目を向けた。
「美緒さん、
すみませんが食事の支度をお願いできませんか?
実は私達先程帰宅したばかりで、何も食べてなくて。」
優作さんにいきなりそんな頼み事をされると思ってなかったから、私は戸惑いながら赤井さんの方へ顔を向けた。
「俺も腹が減ったから、作ってくれると助かる。」
私に優しい笑顔でそう話す赤井さんに
私も笑顔で頷いた。
『もちろんです!
有希子さん、キッチンをお借りしても構いませんか?』
…きっと優作さんは赤井さんに何か話があるんだろう。
そう悟った私はソファーから立ち上がりキッチンに向かった。
「お願いね、美緒ちゃん。後で手伝いに行くからねー!」
ペコッと頭を下げてキッチンに向かい
夕食の支度をしながら時々リビングに目を向けたけど
何を話しているのかまでは聞こえない。
気にするのはやめて私は4人分の食事の支度に集中した。