第25章 紹介 ✴︎
『痛たた…』
尻餅をつき
リモコンを投げつけられた額を手で押さえていると
部屋の奥からバタバタと私達の元へ近づいてくる足音が聞こえてきた。
「おいおい有希子、なんの騒ぎだ?」
「ちょっと優作!!この子誰よ!?」
「…!!美緒!」
「「っ、え……?」」
私と女性の元に近づいてきたのは
眼鏡をかけた男性と赤井さんで……
私が座り込んでいるところに赤井さんが駆け寄ってきた。
「大丈夫か?…少し血が出てるな。」
『はい…なんとか…』
顔を顰めながら私を見る赤井さん。
そしてそんな私達の様子を呆然としながら2人は見ていた。
「赤井くん、彼女はひょっとして…」
「えぇ、こいつが美緒です。」
「っ、えええぇぇぇー!!!」
驚いて発狂したその女性は
よく見るとどこかで見た事のある顔だった。
ーーー…
「ほんっとうにごめんなさい!
実は今インターホンが故障してて…
それにまさかあなたが美緒さんだったなんて…!
私ったらなんて事を…」
4人でリビングに移動し
赤井さんに額の傷の手当てをしてもらっている間
私はさっきからずっと綺麗な女性の人に謝られている。
『私は大丈夫ですからもう謝らないで下さい!!
こんな怪我すぐ治りますから。』
その女性は何だか泣きそうになってきており
そんな彼女を見て隣に座っているメガネの男性は小さくため息をついていた。
「本当に申し訳ありません。
妻は昔からそそっかしくて……私からもお詫びします。」
…だから謝らなくてもいいって言ってるのに!
赤井さんに小さいガーゼを貼ってもらい
手当てが済んだ後、頭を上げて下さいと何度も伝えると
2人はようやく頭を上げてくれて私に向き直った。
「改めまして…工藤優作と申します。
こっちは妻の有希子です。」
『あっ…初めまして、若山 美緒です。
帝丹小学校で教師をしています。
ご挨拶が遅れて申し訳ありません。』
ペコっと頭を下げると
私の隣に座っていた赤井さんは私の肩に手を回した。