第25章 紹介 ✴︎
「若山先生って本当に昴さんが好きなんだね。」
『うん…。あの人には何度も助けてもらったし
昴さんを守るために死ねるなら本望だよ。
もちろん、江戸川くんや灰原さんのことも
ずっも守りたいって思ってるからね!』
笑顔でそう伝えると江戸川くんは呆れたように笑っていた。
「先生がそう言ってたのが昴さんにバレたら
きっとすごく怒られるんじゃない?」
『あははっ、たぶんそうだろうね!
だから今話した事は私達だけの秘密ね。』
「うん…わかった。」
力強く頷いた彼は、そのまま音楽室から出て行ったので
私は再びピアノの練習を始めた。
しばらく練習をした後、キリのいいところで終えて
私は学校を出て工藤邸へと向かった。
今日は泊まる予定なんだけど
着替えはすでに何着か置かせてもらってるから
手ぶらで行っても問題ない。
家に着いたところで呼び鈴を鳴らしたけど
昴さんは出てこなかった。
二度呼び鈴を鳴らしても出てこなかった場合は
渡されていた合鍵を使って入ってもいいと言われていたので
私は玄関の扉を開けて中に入った。
『お邪魔しまーす!昴さん、いないんですかー?』
玄関から声をかけてみたけど返事はなく、
お風呂にでも入ってるのかな?と思い、玄関で靴を脱ぎ
家の中へ足を踏み入れると、リビングに通じる近くの扉が開いた。
昴さんかと思って顔を向けると
そこにはとても綺麗な女性が1人立っていて
私を見てとても驚いているようだった。
「ちょっと!!あなた誰!?」
『へっ?いや、あの、私は…!』
「まさか優作の不倫相手!?それとも空き巣!?」
どっちも違うー!!
説明したくても頭に血が昇っているだろうその女性は
なかなか私の話を聞いてくれなかった。
「空き巣が鍵を持ってるわけないし…やっぱり不倫相手ね!」
『ち、違いますって!
お願いですから話を聞いて下さい…!』
「問答無用よ!さっさと出て行って!この泥棒猫!!」
『きゃーーッ!!!』
女性は私にテレビのリモコンらしき物を投げつけ
それは私の額にクリーンヒットした。