第24章 恋人 ✴︎
工藤邸に着いてリビングで話をするのかと思ったら
手を掴まれて寝室に連れ込まれた私。
寝室に向かう途中に変装を解いた赤井さんは
寝室に入るとすぐ私をベットに座らせ、私の隣に腰掛けていた。
『っ、あの……赤井さん…?』
「なんだ。」
『なんで寝室に…?』
「お前の自覚が足りていないようだからな。」
…だめだ、赤井さんの言ってる言葉の意味が分からない…!
私が理解していないのを悟った赤井さんは
空港にいる時と同じように大きなため息をついていた。
「お前…本当に俺の恋人だと自覚していないのか?」
『っ、えぇ!?
私と赤井さんっていつ恋人になったんですか!?』
「一昨日。俺の正体を明かした時からだろ。」
『え…』
私は一昨日の会話を思い出してみたけど
赤井さんに好きとか付き合って、とか言われた覚えがない。
確かにキスは何回もしたし、体も重ねたけど…
それだけ、だよね…?
『いや、あの……
赤井さんの気持ちは何となく分かりますけど…
交際を申し込まれた覚えがないんですが…』
「わざわざ言わなくても普通分かるだろう。」
『…私は赤井さんと違って経験豊富ではないので。』
つい嫌な言い方をしちゃったけど
雰囲気だけで恋人同士になったと自覚できるほど
私には経験がないから本当に分からない。
そんな私の言葉に赤井さんはまた大きなため息をついた後
私の肩に手を回し、ギュッと抱き寄せた。
「俺は好きでもない女を抱いたりしない。」
『…。』
「お前が…美緒が好きだから触れたくなるんだ。」
『っ…。』
…初めて赤井さんの口から好きって言葉を聞いた。
赤井さんが私の事を大事に思ってくれているのは分かっていたけど……好きだって言われると、私の心臓は分かりやすくドキッと音を立てた。
『私も……赤井さんが大好きです。』
自分の気持ちを同じように伝えると
赤井さんは私を抱きしめる力を少し強くした。
赤井さんの腕の中はいつもあったかくて落ち着く…
私もそっと赤井さんの背中に手を回して
ギュッと抱きしめ返した。