第24章 恋人 ✴︎
「…若山先生、ずっと恋人いなかったって言ってたから
きっとそういう事に疎いんだね?
大変だと思うけど…頑張って。」
「ああ…悪いが今日は家に来ないで頂きたい。
長い時間をかけて美緒に俺の恋人だと自覚させてやらないといけないからな。」
「!?えーっと……
明日から学校だからほどほどにしてあげてね…?」
「心配するな。ちゃんと手加減はする。
じゃあな。」
ボウヤとの電話を切り車に戻ると
助手席に乗っている美緒は不安な顔を俺に向けてきた。
『江戸川くん…何かあったんですか?』
「大丈夫。
あなたの事を心配していただけですから。」
『はい…?心配って…何の心配ですか?』
「家に帰れば分かりますよ。」
ずっと不思議そうな顔をしている美緒は
俺の言葉の意味を家に着くまでずっと考えているようで
真剣に悩んでいる美緒の顔は可愛らしかった。
そんな美緒の様子を見て口元を緩ませて笑っている俺に
美緒は全く気づかず…
車をしばらく走らせていると工藤邸に到着した。
2人で車を降り、俺は美緒の手を掴んでリビングには向かわず寝室に向かった。
慌てた様子の美緒を無視して、沖矢 昴の変装を解き
寝室に入ってベットに彼女を座らせた。