第24章 恋人 ✴︎
side 赤井
美緒が世話になったパティシエールの見送りをするために空港まで来た俺達。
美緒はその女性を本当に慕っているようで
楽しそうに会話をしていた。
コイツは本当に料理バカだから
お菓子作りの話ばかりしていたけどな…。
…だが、俺と恋人同士になれて良かった、と
彼女に祝福された美緒はすぐに恋人ではないと否定していて、パッと顔を見ると俺と同じように不思議そうな顔でこちらを見ていた。
……バカな女だとは思っていたが
俺の恋人だと全く自覚していない美緒に呆れた。
コイツは俺が何とも思っていない女を抱くような男だと思っているんだろうか…
家に帰ってからちゃんと話す必要があるな…
そう思いながら空港の駐車場に向かい
車についたところで俺のスマホが鳴り、画面を確認するとコナン君からの電話だった。
「ボウヤから電話だ。」
『じゃあ私、先に車に乗ってますね。』
助手席に美緒が乗ったのを確認した後
少しだけ車から離れて電話に出た。
「あ、昴さん?今大丈夫?」
「ああ。何かあったのか?」
「うーんとね……実は若山先生のことなんだけど…」
「?美緒がどうかしたのか?」
ボウヤの話を詳しく聞くと
昨日、美緒の素性を聞いた後、俺との関係の話になった時
茶髪の子に恋人なのかと聞かれ
美緒は即座に否定していたと言っていた。
「明らかに両思いの2人なのに
なんで恋人になってないのか気になっちゃって…
ごめん、こんなことで電話して…」
「いや…俺は恋人同士になったつもりだったんだが
あのバカには伝わっていなかったらしい。
俺もさっきその事に気づいたんだ。」
顔に手を当てながらため息を吐くと
同情しているだろうボウヤの声が聞こえてきた。