第23章 信用
『よし!じゃあ話はこれでおしまい!
昴さんに昼までに戻るよう言われてるからもう行くね!』
立ち上がって玄関に向かうと
みんなは私のことを見送りに来てくれた。
「先生、あのさ…
俺が工藤新一だってこと…蘭には…」
『大丈夫、誰にも言わないから。
私じゃ頼りないって思われるかもしれないけど
何か困ったことがあったらいつでも言ってね。』
お邪魔しました、と阿笠さんに告げてから再び工藤邸へ戻った。
その後、阿笠さんの家で3人が何を話していたのか
私はこの先一生知ることはない。
「本当にいい先生よね、あの人。」
「…お前、なんでそんなに若山先生のこと気に入ってるんだ?」
「工藤くんは知らないでしょうけど
あの人、廊下で私を見かける度に話しかけて来たのよ…
"この学校には慣れた?"とか、"困った事があれはいつでも言って"ってね。」
「言われてみれば…
俺が転校したばっかの時もよく話しかけて来たな…」
「担任の先生でもないのに
気にかけてくれたのが柄にも無く嬉しかったのよ。」
「まぁ…確かにちょっと抜けてるところはあるけど
俺達の正体を知ってる人間が近くにいるってのは
なかなか心強いよな。」
「でも、恋愛に関しては相当な鈍感ね。
昴さんが先生のこと好きなの
他の子供達ですら知ってるのに。」
「はは、確かに昴さん分かりやすかったよな…
昨日も先生のこと必死で守ろうとしてたし。」
「私としては今後の展開がちょっと楽しみだけどね、
簡単にくっついたらつまらないもの。」
「はは…こえーよお前…。」
話を終えた所で阿笠博士と子供達は
みんなでランチを食べに行く為に外出した。