第4章 熊猫
「Hi、dad!Thanks for waiting.
(お父さんお待たせ!)」
私は記者たちの隙間を割り込んで、
外国人男性の腕にギュッと抱きついた。
『皆さん、私の父に何かご用ですか?』
「えーっと…この方ホークさんじゃないんですか?」
『ああ、よく似てるって間違われますけどこの人は私の父ですよ。ほらお父さん、私の子供達もあなたに会えるの待ってるんだから早く行くよ!』
「え?……え?」
戸惑っている男性の腕を引っ張って子供達と一緒に外に出て
外国人男性の腕を離したところでお礼を言われた。
「Thank you very much!
お嬢さんのおかげで助かりましたよ。」
『いえいえ!でも本当にホークさんにそっくりですね!』
どうやらこの人はアニマルショーのスポンサーであるホークさんとは別人のようで、今日はショーで販売しているキーホルダーがどうしても欲しくて、わざわざ日本に来たらしい。
彼の名前は、ジェイムズ・ブラックさん。
生まれはロンドン、育ちはシカゴだと教えてくれた。
「そうだ!助けて頂いたお礼に、
お嬢さんと子供達にランチをご馳走しましょう!」
「「「やった〜!!!」」」
『いやいや!お礼なんていいですよ!』
子供達は行く気満々になっていたけど
私は見ず知らずの人に奢ってもらうなんて悪い気しかしなくて…
断り続けていたけど
結局断り切れず、一緒に行くことになってしまった。
ジェイムズさんはお店までは自分のレンタカーで
一緒に行こうと言い、近くのコインパーキングまで
1人で歩いて車を取りに行き、私達はその場で待つように言われた。