第22章 極秘 ✴︎
『最後にもう一つだけ…聞きたい事があります。』
「ああ。」
『宮野明美さんのこと…なんですけど…』
そう尋ねると赤井さんは
少しだけ辛そうな表情をしていた。
以前、赤井さんが私の家で寝ている時
寝言で明美さんの名前を呼んでいたこと、
病院でジョディさんと江戸川くんの話を聞いて
彼女がすでに亡くなっている事など、知っている事をすべて話した。
「美緒…俺はお前に嘘はつきたくないから正直に話す。
確かに俺は…あいつの事が好きだったと思う…
死んだと聞いた時、少し取り乱したからな。」
そう話す赤井さんはなんだかすごく悲しそうで…
本当に明美さんが大事な人だったんだなっていうのが伝わってきた。
「だが今は……」
赤井さんは私の斜め前に座っていた1人掛けのソファーから立ち上がり、私が座っているソファーの隣に腰掛けた。
「今は…お前の事を大事に思っている。」
『っ……』
その言葉に驚いていると、赤井さんは私の手を握り
真剣な目でジッと私を見つめていて…
先程の言葉が本心だと、嫌って言うほど伝わってきた。
「これからは俺の命に変えてもお前を守ってやる。
だから俺のそばにいろ。」
"いてほしい"、じゃなくて…"いろ"、なんだ。
命令形の口調が赤井さんらしくて私はつい笑ってしまった。
「おい、何がおかしいんだ。」
『なんでもありませんよ?
赤井さんは変わらないなって思っただけです。』
「なんだそれは…やはりお前は変な女だな?」
…そんな事言うなんて
赤井さんは相変わらず意地悪ですね…
宮野明美さんのことは
もう過去のことだと吹っ切れていると教えてくれた赤井さんは
私の肩に手を回してそっと抱き寄せた。
『こうしてると…すこく落ち着きます。』
抱き寄せられた赤井さんの肩に自分の頭を預け
もたれ掛かると、頭を優しく撫でられた。