第22章 極秘 ✴︎
『っ、いやいや!何もされてないですよ!
むしろその逆、というか…』
「…どう言う意味だ?」
『えーっと……
赤井さん、1ヶ月前に私にキスした事覚えてますか…?』
「…ああ。」
『赤井さんと別れてから
偶然道端であの金髪の男性に会ったんです。
その時ちょっとだけ迫られて……
抵抗する為に思い切り足を踏ん付けたんです…』
そう話すと赤井さんはキョトンとした顔をしており
私の言葉を理解した彼はプッと噴き出した。
「はははっ!お前あの男にそんな事したのか…!
傑作だな。」
『なっ…!だって…!!
赤井さんが昴さんの状態でキスなんてするから!!
頭の中ごちゃごちゃになってる時に迫られて…!
八つ当たりも入ってたと言いますか…』
私がそう説明している間も
赤井さんは肩を震わせてケラケラ笑っていた。
「美緒は本当に面白いな?」
『っ、そんな事言ってる場合ですか!
赤井さんが生きているって事、あの金髪の人に疑われてるんですよね!?』
「まぁな……でも大丈夫だ。
奴の正体はもう掴んでいるし、お前を襲ったりはしないだろう。」
正体…?
どこかの喫茶店で働いているって言ってたけど
またさらに別の裏の顔もあるってこと…?
「あの男のことは片がついたらお前にも話す。
他に何か聞きたいことはあるか?」
『えっ、と…
この前米花百貨店で見たんですけど
頬に火傷の痕があった赤井さんは…』
「それは俺に変装したバーボンだ。
恐らく俺の知人の周りを俺に化けて彷徨いて
本当に俺が死んでいるのかどうか反応を見て確かめたかったんだろう。」
な、なるほど…
そのバーボンさんってめちゃくちゃ賢くない!?
『このこと、ジョディさん達には言わないんですか?
早く教えてあげた方が喜ぶんじゃ……』
「いずれ話す。だがそれは今じゃない。
心苦しいと思うが黙っていてくれると助かる。」
本当はすぐにでも教えてあげたいところだけど…
そんな事したらきっと赤井さんに迷惑がかかっちゃう…
この人は私よりかなり頭がいいし
頭の中で先の事をすでに考えているんだろう。