第22章 極秘 ✴︎
『ハムとチーズと食パン…
フレンチトーストでも作りましょうか。』
「久しぶりに美緒の飯が食えるから楽しみだ。」
そういえば料理教室は1ヶ月くらい休んでたっけ…
ずっと昴さんとやってた料理教室だけど
中身は赤井さんだったんだよね?
こうやって素顔の赤井さんとキッチンに並ぶと、なんだか変な感じがする。
赤井さんは私が朝食を作っている横で
コーヒーを淹れてくれていて…
そんな赤井さんの姿もカッコよくて、つい見惚れていると
それに気づいた赤井さんは私の目を手で塞いできた。
「馬鹿…あまり見るな。」
『っ、すみません…赤井さんが側にいるのが嬉しくて…』
目を塞いでいる赤井さんの手を両手で退けて彼の顔を見ると、少しだけ頬が赤く染まっているように見えた。
『ひょっとして……照れてるんですか?』
「っ、お前がジッと見つめてくるからだ…」
…赤井さんがなんか可愛い!!
こんな風に照れている赤井さんを見るのは初めてで
自然と頬が緩んでしまう私。
幸せな気分のまま、朝食作りをするために手を動かしていると
コーヒーを入れ終わった赤井さんが後ろから私を抱き締めてきた。
「いい香りがしてきたな。」
『っ…も、もうすぐ…焼けますから…』
背中から感じる赤井さんの体温にドキドキして
上手く体を動かせずにいると、赤井さんは私の顔を後ろから覗き込んできた。
「どうした?顔が真っ赤だぞ?」
『っ、誰のせいだと思ってるんですか!』
「やられっぱなしは性に合わないんでな。」
なんて負けず嫌いなの…
この人にはきっと一生敵わない気がする……
赤井さんは私の顔を真っ赤にさせると満足したようで私から離れた。
そして私は急いで朝食作りの仕上げに取り掛かった。
…また揶揄われたら
朝ごはん食べるのがますます遅くなりそうだからね。