第22章 極秘 ✴︎
side 赤井
沖矢昴の変装を解くと
美緒は驚きながらジッと俺の顔を見つめていた。
…それはそうだろう。
死んだと思っていた人間が目の前にいるんだからな。
ただずっと隠していた事には変わりなく
恐らくこの後は美緒にたくさん文句を言われるだろうと覚悟した。
しかしもう夜も遅い時間だ。
話の続きは明日にしようと伝えようとしたが
美緒は俺の言葉を遮って、俺の頬へと手を伸ばし触れた。
殴られるのも覚悟したが
俺の頬に触れる美緒の手は温かくて、とても優しい手つきだった。
『今…私が言いたい事は一つだけです…
赤井さん……あなたが生きてて……本当に良かった…』
「っ……」
なぜお前は……
そんな事を泣きながら笑って言えるんだ。
俺に対する文句とか、怒りをぶつけるのかと思いきや
ただ俺が生きていて良かったと喜んでいる美緒を見たら
体が勝手に動いて……美緒を思い切り抱き締めていた。
…美緒が愛しい。
ずっとコイツをこの手で抱き締めたかった。
沖矢昴としてではなく
赤井秀一として美緒に触れたかったんだ。
『っ、赤井さん……苦しいです…』
「……悪い。」
そっと美緒の体を離し顔を見ると
すでに涙は止まっていたようだが、照れているのか顔が真っ赤になっていた。
「美緒…本当に……ずっと黙っていて悪かった…」
『もう謝らないで下さい。
それよりも……あの…赤井さんにお願いがあるんですけど…』
「?何だ?」
恥ずかしそうに目をキョロキョロさせながら
俺にお願いがあると言ってきた美緒。
その後に続く言葉を待っていると
美緒は俺と目を合わせてから口を開いた。
『私の名前……呼んでくれませんか…?
赤井さんの声…もっと聞きたいんです。』
「!!」
本当にコイツは……
美緒のその言葉は俺を煽るには十分で……
一度ため息をついたあと、美緒の体を抱き上げて寝室に向かった。