第22章 極秘 ✴︎
「前にも言っただろう…
俺はお前の泣き顔は……見たくない。」
『っ、え……!?』
確かに言われたことはある。
でもそれは…昴さんに言われたんじゃなくて…
驚いたまま昴さんを見つめていると
彼は私の手首を掴んでいる手とは逆の方の手で自分の首元に手を伸ばし、グッと喉元を押さえると、ピッという機械音が聞こえた。
「お前には…笑っていて欲しいんだ。」
『っ!!』
急に声が変わった昴さん。
その声は…ずっと聞きたかった人の声で……
何ヶ月も聞いていなかったけど
絶対聞き間違えなんかじゃない。
『っ、あか、い…さん…?』
私がそう呟くと、彼は困ったようにフッと笑い
顔の皮膚を伸ばしながらベリベリと剥がし出した。
『な……、っ!?』
特殊メイクのマスクのような物を全て剥がし終わると
私の目の前にはずっと会いたかった赤井さんが現れた。
『っ……う、そ………
ほん、とうに…赤井さん…?』
「ああ……俺だ。」
ジッと顔を見ると、以前と変わらない翡翠色の瞳…
目のクマは相変わらずだけど、
鼻が高くてどの角度から見てもカッコよくて…
私の記憶の中にいる赤井さんと全く同じだった。
「美緒…ずっと黙っていて悪かった…
言いたい事は色々あるだろうが今日はもう遅い。
話はまた明日にでも『赤井さん。』…。」
私は赤井さんの言葉を遮って彼の名前を呼び
掴まれたままの方の手を赤井さんの頬へと伸ばした。
『今…私が言いたい事は一つだけです…
赤井さん……あなたが生きてて……本当に良かった…』
ポロポロと涙が流れ出ている状態のまま笑いながらそう伝えると、赤井さんは私を荒々しく抱き締めた。