第21章 標的
『昴さん…江戸川くん…っ…』
2人は無事なの…?
それともまだ…このお城の中にいるの…?
燃え盛る炎を前に立ち尽くしていると足音が聞こえてきて
振り返るとそこには盗まれたはずのエッグを持った江戸川くんが私達の元へ歩み寄ってきた。
『江戸川くん…!無事だったんだね!!』
私は彼に駆け寄り勢いよくギュッと抱き締めた。
「若山先生…っ、苦しいよ…」
『!!ご、ごめんね!?
あとさ…昴さんはどこにいるの?』
「白鳥警部と一緒にスコーピオンを捕まえたから
車で警察に行くって言ってたよ!」
良かった…!
じゃあみんな無事だったんだ…!
ホッと安心していると消防車のサイレンの音が聞こえてきて、江戸川くんが取り戻したエッグを香坂先生に渡していた。
『ねぇ、江戸川くん。
スコーピオンって結局誰だったの?』
江戸川くんは犯人の正体がロマノフ王朝の研究家の女性である事、そして行方不明になっていた美術商の方は残念ながら殺された事を教えてくれた。
彼女はラスプーチンの末裔で
ロマノフ王朝の財宝を手に入れるため犯行に及び、
毛利さんを狙ったのはラスプーチンの悪口を言ったからだそうだ。
『もう一つ聞きたいんだけどさ…
昴さんって工藤邸に帰ったんだよね?』
「うん、そうだけど…どうして?」
『ちょっと、ね…。
君にも話したい事があるから、また今度時間作ってくれる?』
「……うん、分かった。」
江戸川くんと話を終えたところで消防車が到着し
私達はそれぞれ帰宅する事になった。
香坂先生は明後日パリに帰国するらしく
空港の場所と出発時間を聞いて、見送りに行く約束をしてから別れ
私は阿笠博士のビートルで送ってもらう事になったんだけど…
昴さんと話がしたかったから
私のアパートではなく工藤邸に送ってもらった。
車を降り、阿笠さんと灰原さんにお礼を言ってから
工藤邸に向かい呼び鈴を鳴らすと、昴さんはすぐに玄関を開けてくれた。
「美緒さん…こんな時間にどうしたんですか?」
『夜分遅くにすみません…。話があるんです。』
私がそう言うと、昴さんは私を家の中に入れてくれて
2人でリビングのソファーに腰掛けた。