第21章 標的
「若山さん…あの眼鏡の男性が
なぜこのお城に入って来たのか教えてあげる。」
『え?それって…
お城に入る前に、2人がこっそり話していた時のことですか?』
「えぇ、そうよ。あの人ね、私にこう言ったの…
"美緒さんは僕の大事な人だから
側にいて守りたいんです、ついて行ってもいいですか?"ってね。」
『!?』
「え……えぇーーー!?
それってやっぱり…昴さんは若山先生のこと…!!」
香坂先生の言葉を聞いた蘭ちゃんは興奮して頬を染めていた。
私も顔がかなり熱いから
きっと蘭ちゃんと同じ様に赤くなっているだろう…。
「あなたが悩んでいたのって
昴さんって人のことなんでしょう?
何があったのかは聞かないけど、無事が確認できたら
ちゃんと2人で話せるといいわね。」
香坂先生はウインクしながら私にそう話していた。
赤井さんは…きっと無事だよ……
だってすごく強いし頭もいいんだもん。
江戸川くんだって、物語の主人公だし
何としてでも生き残るはずだから…。
赤井さん……
私が本当の事を聞いたら
あなたは正直に話してくれますか…?
もし誤魔化されたりしたら、私はきっと立ち直れない。
昴さんが赤井さんだって確信してるくせに
傷つく事が怖くて話をする事から逃げようとしている私は…
本当に臆病で弱い人間だ。
「若山先生…頑張って下さい!
自分の気持ちを伝えるのってすごく勇気がいる事だと思いますけど…怖がってたら何も変わらないですよ!
私と夏美さんは先生の味方なので!応援してます!」
眩しいくらいの蘭ちゃんの笑顔を見ていると
なんだかすごく安心して勇気がみなぎってきた。
『香坂先生…蘭ちゃんも……ありがとう。』
2人のおかげで覚悟を決めた。
私が思っている事…ちゃんと昴さんに話そう。
そう決意したところで
私達は城の外へ避難することができたんだけど…
外はもう夜の時刻なのにも関わらず、なぜかとても明るかった。
不思議に思い外から城を眺めると
綺麗だったお城は激しい炎に包まれていた。