第21章 標的
銃を持った犯人がいると分かりみんなは慌てふためき、
そんな中香坂先生が転倒してしまい、手に持っていたエッグを落としてしまった。
…そして犯人がすぐエッグ拾い上げ、走り去って行った。
「くそっ!逃すか!」
「コナン君!だめよ!」
走り出した江戸川くんを蘭ちゃんが声を掛けて引き止めていたけど、彼はそのまま犯人を追いかけて行ってしまった。
「美緒さんは毛利さん達と一緒にいて下さい。
コナン君は僕が追いかけますから、いいですね?」
『っ、え…!?ちょっと!昴さん!!』
昴さんも私の制止など聞かずに走り去ってしまい
私はそれを呆然と見ていた。
『やっぱり…昴さんが……』
私を助けてくれた時の昴さん…
私の目には赤井さんにしか見えなかった。
あんな風に私の名前を呼んで
必死に助けてくれたあの人は…
絶対…赤井さんに間違いないよ…
以前私がストーカーに襲われた時、
助けに来てくれた赤井さんと焦ってる感じが一緒だった。
私のただの直感で
顔も声も違うし証拠なんて何も無いけど…
疑惑から確信に変わるには十分な出来事だった。
「若山先生!大丈夫!?」
「先生どこか怪我したんですか!?」
「まさか銃で撃たれたのか!?」
昴さんが走り去った方向を見つめている間に
いつの間にか探偵団のみんなが私のそばに駆け寄って来ていた。
『っ、ううん!怪我してないよ!大丈夫!』
他のみんなも怪我はしていないようで
私達は全員揃って出口に向かって歩き出した。
「香坂先生…さっき転んでましたけど…
大丈夫ですか?」
「えぇ、平気よ。
若山さんも怪我がなくてよかった。」
歩きながら香坂先生と話していても
江戸川くんと昴さんのことが心配で…
暗い顔をしているのがすぐにバレてしまった。
「彼らのこと…心配なの?」
『もちろん…心配ですよ…』
「昴さんとコナン君なら大丈夫ですよ。
白鳥警部もついて行ってくれたんですから。」
香坂先生と話していると、蘭ちゃんか私達のそばに来ていて
そう声を掛けてくれたけど……
私は無理矢理作った笑顔を返すだけで精一杯だった。