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《赤井夢》Happiness{R18}

第21章 標的




しかし思い付くパスワードをいくつか言葉を入力してみても
反応は何もなかった。




「夏美さん、何か伝え聞いていることはありませんか?」

「いえ…特には…」

「…バルシェ、ニクカッタベカ……
夏美さん、僕と蘭ねーちゃんに教えてくれたのよね?
この変な日本語が子供の時から耳に残って離れないって。
本当はロシア語かも知れないよ?」



私には何のことか分からなかったけど
その言葉が扉を開くキーワードのヒントの様だった。



そして、ロマノフ王朝の研究家である女性が
あるロシア語の言葉を思いつきみんなに伝えていたけど
流石に私はロシア語なんて聞き取れなかった。




「ねぇ、今のロシア語ってどういう意味なの?」

「ああ…英語だと[The last wizard of the century]。
えーっと日本語では…」

『直訳すると[世紀末の魔術師]ですね。』



私がそう呟くと、みんなはハッとした顔をしていた。



『え、え…?どうかしたんですか?』

「怪盗キッドの予告状にも書かれていたんです。
世紀末の魔術師って。」




そうなの!?
ていうかなんで怪盗キッド!?



そばにいた蘭ちゃんが驚いている私に
香坂先生の遺族が遺したエッグをスコーピオンだけではなく、怪盗キッドも狙っていたことを教えてくれた。


そして、ロシア語で世紀末の魔術師とキーボードに入力すると
何かが動いているような音がして、床がゆっくりと開き
地下へ繋がる階段が現れた。


「面白い仕掛けですね…
何だか楽しくなってきましたよ。」



そう呟いた昴さんは何だか生き生きとしているように見えて…


その時の昴さんの顔が
ニヤついている時の赤井さんと雰囲気が似ていて
胸がドキッと高鳴った。



『…あの、昴さん。』

「?なんですか?」



…本当は今すぐここで聞いてみたい。



あなたは赤井さんなの?って……



でも今はそんなことを聞いている場合じゃない。
昴さんには、『何でもないです』とだけ伝えて
私もみんなの後に続いて地下へと降りて行った。











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