第21章 標的
「おい、この男ラスプーチンじゃないか?」
「えぇ…!彼に間違いありません。
サインも書いてありますし。」
美術商の男性と大使館の男性が見ていた写真は
喜一さんとのツーショット写真で、一緒に写っている人は
ラスプーチン、という人らしい。
『毛利さん、ラスプーチンって人は一体…?』
「いやぁ…
私も彼が世紀の大悪党だったということくらいしか知らないですよ。」
昴さんに聞いても知らないみたいで、
そんな私達に美術商の人が詳しく教えてくれた。
彼は怪僧ラスプーチンと言われていて
ロマノフ王朝の滅亡の原因を作った人。
彼は最期、1人の公爵に殺害され
片方の目が潰された遺体となって発見されたとのこと。
「スコーピオンの手口と似てやがるな…
奴も銃で相手の右目を撃って殺害しているし。」
「えぇ。ですが今はラスプーチンのことより
もう一つのエッグを見つけることを優先しましょう。」
毛利さんと白鳥警部の会話を聞いている時
何処からか少し冷たい風を感じ、キョロキョロと見渡していると、そんな私の様子に昴さんが気づき、声を掛けられた。
「美緒さん?どうかしましたか?」
『いや、あの…気のせいかもしれないんですけどね?
何処からかひんやりした風を感じたんですよ。
でもこの部屋には窓がないので…
やっぱり気のせいだったみたいです。』
「「!!」」
私の言葉を聞いた昴さんと江戸川くんは
床に膝をついて何かを探し出した。
「美緒さんの言う通り、下から風が来てますね。」
「きっとこの下に…秘密の地下室があるんだよ。」
『え…!?本当ですか!?』
気のせいじゃなかったんだ…
「きっと…カラクリ好きの喜一さんの事だから
何処かにスイッチがあるはずだよ。」
2人が手分けして探していると
壁際の床のタイルが1箇所開く所を昴さんが見つけ
そこにはロシア語のアルファベットのキーボードのようなものがあった。