第21章 標的
お城の中に入った私達は
香坂先生の執事の沢部さんによって城内を案内してもらっていた。
「ここは騎士の間です。
西洋の甲冑とタペストリーが飾られております。」
『すごい…!
でもなんだか動き出しそうでちょっと怖いですね。』
「ははっ。
もしそうなったら僕が美緒さんをお守りしますよ。」
『本当ですか?
私を置いて逃げたりしないで下さいね。』
「そんな事しませんよ。
いざという時は必ず守って差し上げます。」
『ふふっ、心強いです。』
久しぶりに昴さんと話をして
最初は気まずさもあったけど、昴さんはやはり大人な対応で…
徐々に以前と同じ様に会話をする事ができてホッとした。
今度は2階に移動し、貴婦人の間と呼ばれる絵画がたくさん飾られている部屋、
皇帝の間という美術品が飾られている部屋を順番に回った。
みんなで部屋を見渡しながらエッグを探していると
江戸川くんが執事の沢部さんに声をかけていた。
「ねぇ、このお城に地下室は?」
「?ありませんよ。」
「じゃあ、夏美さんのひいお爺さんの部屋は?」
「それでしたら…一階の執務室ですね。」
みんなでそこに向かう途中、
私は江戸川くんになんで地下室があるのか聞いていたかを尋ねた。
「夏美さんのひいお爺さんの喜一さん
ロマノフ王朝の細工職人だったみたいで、カラクリ好きなんだって!だからひょっとしたら地下に工房みたいなところがあるんじゃないのかなって思ったんだ。」
『へぇ…!いつものことだけど
江戸川くんは相変わらず目の付け所が違うね!』
さすが工藤新一くん。
彼の頭の良さは感心していると、執務室と称した部屋に到着した。
「こちらには喜一様のお写真と
当時の日常的な情景を撮影した写真が展示してあります。」
たくさん飾られている写真を見渡しながら
喜一さん、という香坂先生のひいお爺さんの顔を見ると
とても優しそうな男性だった。