第20章 忘憂
『うーん…香坂先生…
なんか私、場違いな気がします…。』
「そんなことないから大丈夫!」
…全然大丈夫な感じがしないよ。
江戸川くんだって苦笑いしてるし…
そのままみんなで話しながらお城を眺めていると
お城の門から車がまた一台入ってきた。
その車は何度か見た事がある阿笠博士のビートルで
車が止まり、そこから探偵団のみんなが降りてきて……
『っ、なんで……!?』
子供達だけじゃなく車の助手席からは
この1ヶ月間一度も会わなかった昴さんが降りてきた。
昴さんも私がいるとは思っていなかったのか
目が合うと驚いているようだった。
「博士…!どうしてここに?」
「いやぁ、コナンくんから連絡をもらって
ドライブがてら来てみたんじゃよ。」
蘭ちゃんと博士が話しているのを聞いていると
私のそばに昴さんが近づいてきた。
「お久しぶりですね、美緒さん。」
『はい…お元気そうで良かったです。』
何となく気まずい空気が私達の間に流れているところ
江戸川くんが昴さんに話があると言って
少し離れた所でヒソヒソと話していた。
「先生も来てたのね。」
『まさか灰原さん達にも会えるとは思ってなかったよ。』
「私達はお城の中に入らないけど
スコーピオンに殺されない様にせいぜい気をつけることね。」
『怖い事言わないでくれる!?』
灰原さんって時々こうやって物騒なこと言うんだよね…
見た目は小学生だから
私はいつもそのギャップに驚いてしまう。
「じゃあ、そろそろお城の中に入りましょうか。」
香坂先生が声を発しみんなでお城の入り口に向かっていると
昴さんが彼女の元に向かい、耳元で何かを話していた。
その様子を見ていると
香坂先生は私の方を見てニコッと笑ってから昴さんに笑顔を向けていた。
なんで笑っているのか全然分からなくて不思議に思っていると、昴さんは再び私の元へと近づいて来た。