第3章 場周
『うーん……んん?』
「あ!若山先生気がついた!?」
「先生大丈夫ですか!?」
「まだ寝てなきゃだめだぞ!」
目を覚ますと視界に入ったのは私の顔を心配そうに覗き込む吉田さん達3人。そして少し離れたところに、江戸川くんと灰原さん、阿笠さんが立っていた。
「ここは病院だよ。
先生急に倒れちゃったから救急車で運ばれたんだ。
覚えてる?」
『なんとなくは…覚えてる。』
確かあの時、刑事さんの車に乗ったみんなを見送った後
江戸川君と事情聴取受けることになって…
…だめだ。そこから先は何も思い出せない。
きっと限界がきて倒れて救急車でここに運ばれたのかな。
「ねぇ、先生。あのニット帽被った男の人と知り合いなの?」
…ニット帽……あ、赤井さんのことか。
でも名前で聞いてこないってことは
彼の事を知らないってことだよね…?
『ううん。初めて会った人だよ。
バスの中で隣に座ってたから、ぐったりしてた私を励ましてくれてたの。』
「ふーん。そうなんだ!」
嘘はついていないから、すぐに納得してくれたようだった。
でも…赤井さんにはちゃんとお礼言いたかったな…。
きっともう二度と会う事ないだろうし、少し残念だ。