第19章 亡霊
私達の間に沈黙が流れると、
喫茶店の外の通路を警察の機動隊がドタドタと慌てて走っていく姿が見えた。
「な、何で機動隊?」
「そういえば、上の階で何かあったみたいですよ?
エレベーターがその階に止まらないって客が騒いでいましたから。」
上の階って……っ、昴さんは!?
まだ戻って来ていない昴さんが心配で連絡をしようとすると
ちょうどタイミング良く私のスマホが鳴り、画面には昴さんの名前が表示されていた。
『もしもし、昴さん!?今どこですか!?』
「落ち着いて下さい美緒さん。
実はですね…僕のいるフロアに爆弾が設置されているようで
そちらに戻れなくなってしまったんですよ。」
『え……爆、弾…?』
私がそう呟くと
キャメルさんとジョディさんは驚いた顔をしていた。
「でも大丈夫です。
どうやら爆弾犯はこのフロアにいるようですし
あの有名な毛利探偵とコナン君もいるので、きっと彼らがすぐに捕まえてくれますよ。
美緒さんは危ないですから
大人しくその喫茶店で待っていて下さいね?」
『え…!?ちょっと昴さん!?』
電話はすぐに切れてしまい、昴さんを心配していると
ジョディさんとキャメルさんは様子を見てくると言って喫茶店を出て行った。
…頭の中がこんがらがっておかしくなりそうだ。
赤井さんが生きていると分かったのに
気持ちが全然追いつかない。
それに今この百貨店で起きている爆弾騒ぎ…
昴さんの事が心配でハラハラしてしまう。
空のグラスが置かれたテーブルに肘をついて頭を抱えると
自然とため息が出た。
何が起こっているのか何一つ理解できない私は
頭がパンクして煙が出そうなくらい混乱していた。