第19章 亡霊
ジョディさんと店の前で話していると
トイレを済ませたキャメルさんが私達を探しに外に来たので、私達は再び店内に戻って話をする事になった。
「実は自分も先程トイレで赤井さんを見たんです。
頬に火傷の傷があり、帽子を被っていましたが…」
私が見た赤井さんをキャメルさんも見たようで
やっぱり私の見間違いじゃなかったんだと確信した。
「美緒…
この前帝都銀行で起きた銀行強盗の事件は知ってる?」
『はい…ニュースで見ました。』
「実はその時、私も人質として現場にいたの。
それに…あの火傷を負ったシュウもそこにいたのを見たのよ。」
『!!じゃあ……やっぱりあの人は…』
本当に…赤井さんは生きていたってこと…?
それならどうして何も連絡をくれないの?
もう私の事なんか……忘れちゃったの…?
頭の中がぐちゃぐちゃだ。
死んだと思っていた赤井さんが目の前に現れて
私に声をかけずそのまま去ってしまったんだから…
「その時、彼が被っていた帽子が
この米花百貨店のオリジナルデザインだった事に気づいてここに調べに来たの。
まだ半信半疑だったからあなたには黙っていたんだけど…
隠しててごめんなさい。」
ジョディさんは私にそう説明した後、深く頭を下げて来た。
『ジョディさんが謝る必要ないですよ!
私もあなたと同じ立場だったら黙ってると思いますし…』
きっとジョディさんは赤井さんが生きていることを私に伝えた後で、その事が間違いだった場合、私がぬか喜びしないように黙っててくれたんだと思う。
「でもジョディさん言ってましたよね?
赤井秀一は死んだって…遺体の指紋も確認したんですから
生きているはずないですよ…!」
「そうなんだけど……
でも、シュウなら何とかして生き延びているかもって…」
赤井さん…
あなたが本当に生きているんだとしたらとても嬉しい。
でもなんで…何も声をかけてくれなかったの?
ジョディさんとキャメルさんは同じFBIの仲間なんですよね?
彼らも赤井さんが死んだと聞いた時、
相当辛い思いをしたに違いないのに…
なんで安心させてあげないんですか…?