第19章 亡霊
「ちょっとキャメル!
美緒の前でシュウのことは…」
「!!す、すみません!」
慌てて私に頭をペコペコ下げて謝るキャメルさん。
見た目とは裏腹に繊細な彼のギャップを目の前にして笑みが溢れた。
『ふふっ、大丈夫ですよ?
こちらこそ気を遣わせてしまってすみません。』
私がクスクス笑っていると
ジョディさんとキャメルさんはホッと安心しているようだった。
そして彼らは私の隣のテーブルに座り、昴さんを待つ間
話をする事になった。
「美緒はここに何しに来たの?」
『ちょっと友人と買い物に…
今は注文した物を取りに行ってもらってるので私はここで待ってるんです。』
少しの間そのまま話していると
キャメルさんがトイレに立ち、ジョディさんはスマホに電話がかかってきて一旦お店を出て行った。
『昴さんまだかなぁ…?』
なかなか戻ってこない昴さんに一度連絡をしてみようと思いスマホの画面を開いたら…
『っ、え………今のって…』
私の目の前を顔に火傷の傷がついている男性が横切って行った。
その男性は帽子を被っていたけど…
赤井さんに……そっくりで……
私はすぐに席を立ち追いかけた。
『赤井さん!待って!』
喫茶店の扉から出てキョロキョロと見渡したけど
彼の姿はもう何処にも見当たらなかった。
…見間違い?
いや、そんなわけない!あれは絶対赤井さんだった。
でもなんで…?赤井さんって死んじゃったんじゃ…
『私は…
赤井さんの亡霊まで見えるようになっちゃったの…?』
喫茶店の入り口で呆然としていると
電話を終えたジョディさんが近づいて来た。
「美緒?こんなところで何してるの?」
『!ジョディさんっ!
赤井さんを見ませんでしたか!?
頬に火傷があって帽子を被ってたんですけど!』
「!?まさか…ここにいたの!?
あなたもシュウを見たのね!?」
私も、って……?それはどういう事?
ジョディさん…赤井さんが生きているって知ってたの?