第18章 釣魚
side 赤井
「「「…おいしーいっ!!!」」」
『よかった〜!みんなたくさん食べてね!』
子供達が釣った魚で
ほぼ美緒が作った料理を全員で食べると
分かってはいたがとても美味だった。
海にいる時…
人質にされた1人の生徒を抱き締めながら泣いていた美緒は
今はもう元気を取り戻しているようで安心した。
だが今回のように
美緒は時々とても悲しそうな顔をする時がある。
沖矢昴としてそばにいる俺ではなく
赤井秀一としての俺を思い出してそんな顔をさせているんだと思うと、胸が苦しくなる。
大事な人がいなくなるのはもう嫌だと涙を流していたのは
俺のことを言っているんだとすぐに分かった。
…本当に……このままでいいのか?
最近は美緒に全てを話した方がいいんじゃないかという考えが頭の中を何度もよぎる。
沖矢昴として美緒の側にいても
俺に向けられる笑顔は以前のものとは少し違う…
それほど俺の死が美緒を苦しめているんだと思うと心が痛む。
苦しめる事は分かっていたはずだが
何度も目の前で美緒の辛そうな姿を見ていると
さすがに俺も耐えられなくなってきている。
その後…
食事を終えて片付けを全員で手分けして済ませたところで
今日はお開きとなった。
「先生!
博士が送っていってくれるみたいだから一緒に帰ろ!」
『本当?じゃあお言葉に甘えて…
灰原さん、お邪魔しました。』
玄関で美緒と子供達を見送っていると
美緒は眼鏡のボウヤに視線を向けた。
『江戸川くんは?まだ帰らないの?』
「僕は今日博士の家に泊まるんだ。」
『そっか…じゃあまた学校でね!』
ボウヤが泊まる予定だった事を初めて聞いて不思議に思ったが、今は突っ込まない方がいい気がした。
「美緒さん。今日は本当にありがとうございました。
…また連絡しますね。」
『っ!あ…は、はい!おやすみなさい!』
さっきのデートの誘いの事を思い出したのか
美緒は恥ずかしそうに顔を赤くして慌てながら返事をしていた。