第18章 釣魚
『うーんと…
サバは魚編に色の[青]、コイは魚編に[里]、
タイは魚編に周辺の[周]、ヒラメは魚編に平野の[平]だよ。』
「そして亡くなった女性が付けていたダイバーズウォッチ…文字が削られている箇所がありました。」
昴さんから詳しく話を聞くと
その時計にはもともと[赤峰エンジェルフィッシュクラブ]と彫られていたそうだが、フィッシュの文字だけが消されていたんだとか。
『じゃあそれって…さっきの漢字の魚編を消せってこと?』
「うん!つまり魚編をとると浮かび上がってくる名前…
青里 周平さん…あなたが犯人だってことだよ。」
口元に絆創膏が貼ってある青里さんは
自分はやっていないと言い張っていたが…
「お兄さんさ、このお姉さんが亡くなってるか確認しに来た時にレギュレーターをすり替えたでしょ?
多分、3日前のダイビング中にこのお姉さんのレギュレーターのパイプに切れ目を入れてエア漏れのトラブルを装いこの一角岩に連れて来た。」
「後で迎えに来るとでも言って放っておいたんですよね?
そしてここに来た時に自分のレギュレーターと切れ目の入ったレギュレーターを交換した…。
切れ目はビニールテープか何かで塞げばいいですからね。」
「なるほど…
後でそのレギュレーターに切れ目が見つかったら
事故に見えなくなっちまうからな。」
「っ…そんなの推測だろ!?
俺がそんなことやってたの見てたのかよ!?」
青里さんは疑われていることに苛つきを感じ
声を荒げていたが…昴さんと江戸川くんは顔を見合わせて笑っていた。
「口元の絆創膏…」
「取っていただいてもよろしいですか?」
「なっ!?」
2人がそう話すと、分かりやすく焦った顔をした青里さん。
警部さんが彼に近づき、絆創膏を剥がすと
そこには亡くなった女性と同じ色の口紅の後が残っていた。