第18章 釣魚
「ねぇ、若山先生。」
『?なに?江戸川くん。』
いつの間にか私の側にいた江戸川くんが声を掛けて来た。
「先生って料理得意なんでしょ?
あのダイイングメッセージのサバとコイとタイとヒラメで
何か気づいたことってない?何でもいいんだけど…」
『うーん…そうだなぁ…
どの魚も調理すると全部美味しい味になるってことと…
あ、後はあれだね、全部魚編の漢字だなって思ったよ!』
「「!!」」
私の言葉に驚いている江戸川くんと昴さん。
なんか変なこと言っちゃったかな…?
「ねー若山先生。
あの魚の名前って本当に漢字で書けるの?」
『うん。みんなはまだ1年生だから
勉強するのはもう少し先だけどね。』
吉田さんとそう話している時
江戸川くんと昴さんが私に礼を伝えて来た。
「先生のおかげで犯人が分かったよ。」
「普段小学校の教師として働いている先生だからこそ
その考えが思い浮かんだんですね。」
『え…?え?どういうこと?』
2人は犯人が分かったようだけど
私には何が何だかさっぱりのまま……
そしてそろそろ日が暮れてきたから
早くこの一角岩から離れようと3人の容疑者は警部さんに訴えていて、遺体を船に運ぼうとしたところで、昴さんと江戸川くんが「待った」をかけていた。
「なんだぁ?2人揃って…なんか分かったのか?」
「ええ、全て分かりましたよ。」
「この女性を一角岩に置き去りにした犯人と…その証拠もね。」
2人は自信満々に警部さんにそう話していて
3人の容疑者である男性は驚いていた。
「おいボウズ、適当なこと言ってんじゃねぇぞ?」
「まだ俺達の中に犯人がいるって思ってんのかよ。」
「証拠なんて何にもねーだろ。」
「いや、証拠どころかこのお嬢様は
ちゃんと犯人の名前を残してくれたよ?」
「ボウヤの言う通りです。
美緒さん、先程の話をもう一度して頂けませんか?」
『え…?それってあのダイイングメッセージの魚の名前が
漢字で書けるって言ったことですか?」
「うん!僕まだ一年生だから先生に教えて欲しいな!」
…いやいや。君は高校2年生だから絶対知ってるよね!?
でもそんなこと言える訳もなく
江戸川くんの言うように漢字での書き方を教えた。