第18章 釣魚
警部さんが3人の男性に話を聞いているところで
探偵団のみんなが彼らに声をかけていた。
「ねぇ、お兄さん達ってお魚だと何が好き?」
「答えてくれませんか?」
「俺はウナギが好きだぞ!」
「あん?警部サン、なんなんすかこのガキ共…」
…またこの子達は勝手に!
『ちょっとみんな…
お兄さん達にいきなりそんなこと聞いたらダメでしょ?
すみません、気にしないで下さい。』
彼らに頭を下げて謝ると
目に眼帯をつけている1人の男性が私に近づいて来た。
「君、このガキ共の先生?」
『え?まぁ…はい、そうですけど…』
「ふーん…結構可愛いじゃん。
良かったら連絡先教えてくれない?」
…ダイビング仲間の女性が亡くなったばかりなのに
ナンパしてくる男なんて絶対ロクな人じゃない!!
断ろうと思っていると
私とその男性の間に昴さんが割って入って来た。
「すみませんが、彼女は私の連れでして…
そういう軟派な行為は控えて頂けますか?」
「…ちっ、男連れだったのかよ。つまんねー」
私に興味が無くなったその男性は
再び他の男性達のいる輪に戻って行った。
『あの…昴さん、ありがとうございました。』
「いえ…あなたの魅力に気づくなんて
あの男性はなかなかいい目をお持ちのようだ。」
…いやいや、ただの物好きの間違いだと思います!
『そ、それよりみんな。
どうしてあのお兄さん達に好きな魚を聞いたの?』
「だって岩に書いてあったサバとかコイの文字って
あのお姉さんが残したダイイングメッセージなんでしょ?」
「犯人の好きな魚を書いたんじゃないのかなーって思ったんです!」
なるほど…
子供の考えることってやっぱり面白いなぁ。
近くでその話を聞いていた警部さんは
容疑者の男性達にも一応聞いてくれていて、特に好き嫌いの魚はないとのことだった。
「子供達の着眼点は悪くないですね。
常識に囚われない無邪気な発想が、時には謎を切り開き
真実を見抜く鍵になる事はままありますから。」
…確かに昴さんの言う事は分かるけど
私には今回の事件の犯人が誰かどうかだなんてさっぱり分からない。