第18章 釣魚
徐々にその岩に船で近づいていくと、
なかなかの大きさに圧倒された。
『うわぁ…近くで見ると結構大きいですね。』
「えぇ。こんな形の岩を見るのは初めてなので貴重な体験ですね。」
昴さんの言葉に頷いていると別の方向からクルーザーが現れた。
そのクルーザーに乗っていた若い男性達は
「岩に近づくと祟られるぞ!」…と私達に言いながらも
何かを探しているようですぐに去って行った。
『あの人達は…?』
「最近この辺で潜り始めたどっかの社長令嬢の取り巻きのダイバーだよ…、度々漁の邪魔になって困ってんだ。」
…それは大変。
海はみんなの物って言うし
漁師さんの気持ちも考えてあげて欲しいところだ。
そしてその後すぐに私達が乗った船は一角岩に到着し
みんなで上陸して、夕陽が沈む前にみんなで写真を撮ることにした。
「若山先生も一緒に撮ろうよ!」
『え…?私も?』
「美緒さん、
僕がスマホで撮りますからどうぞ入って下さい。」
『そうですか…?じゃあ…お願いしますね。』
夕陽をバックにしてみんなで並ぶと
カメラを構えた昴さんがすぐに近づいてきて岩壁をじっと見ていた。
そこには何か文字が書いてあるようで
みんなで見てみるとサバ、コイ、タイ、ヒラメの文字が刻まれていた。
刻まれた文字の近くには
ダイビング用のフィンが岩に挟まっているのを
小嶋くんが発見し、それを見た江戸川くんは少し考え込んだ後、走って一角岩の裏へ向かった。
『江戸川くん!?走ると危ない…って聞いてないし!』
「…美緒さん、僕達も行ってみましょう。」
みんなで後を追いかけていくと、
ウエットスーツを着た女性が岩に寄りかかっているのを見つけた。
『江戸川くん、その女の人…どうかしたの?』
「先生。この人もう亡くなってるから
漁師さんに警察を呼んでもらうようにお願いして。」
『え…亡くなってるって…本当に!?』
「現場の状況から見て
この女性は何者かに置き去りにされたんでしょう。
死因は脱水死。死後数時間は経っていますね。」
…何で昴さんそんなことまで分かるの!?
江戸川くんなら探偵だから分かるけど、昴さんは大学院生だよね…!?