第18章 釣魚
『じゃあ私は帰りますから
すぐに子供達を迎えに行ってあげて下さいね。』
「いえ…美緒さんも一緒に来て下さい。」
『え…!?なんで私も!?』
「実は、博士のところに住んでいる茶髪の子に
僕はどうやら嫌われているようでして…。
でも先生であるあなたがいれば、あの子も安心すると思うんですよ。」
…茶髪の子って、灰原さんのことだよね?
なんで昴さんのこと嫌いなの…?
でも昴さんが子供の嫌がる事をするとは思えないし…。
うーん、とあれこれ考えていると
昴さんは私の腕を掴んで玄関の方へと歩き出した。
「さぁ、時間がないのですぐに出ましょう。」
『ちょ、ちょっと…!』
まだ行くって言ってないのに…強引!
このちょっと強引なところも赤井さんと似てて困る!
結局、断る暇もないまま
昴さんの赤い車の助手席に乗せられて海の方へと出発した。
そして港に着いてから
阿笠博士の知り合いである漁師の人の船に乗せてもらい、
みんながいる沖へと出発した。
『久しぶりに海を見ましたけどやっぱり海っていいですね。
開放感があって気持ちいいです。』
「来て良かったでしょう?」
『ふふっ、そうですね。』
昴さんと会話をしながら船に揺られていると
子供達は私たちが迎えに来たことに気づいて手を振っているのが見えた。
そして沖についたところで
子供達にも博士が急用で来られなくなり、
代わりに私と昴さんが迎えに来たと説明した。
詳しい話は船に乗ってから、と漁師の人に声を掛けられ
順番に船へと乗り込んだ。
『みんな、転ばないように足元気をつけてね。』
「「「はーい!!!」」」
子供達が乗り切ったところで
昴さんが船の中から私に手を差し伸べてくれた。
「美緒さんも早く乗って下さい。」
『はい…ありがとうございます。』
差し出された手に自分の手を重ねると
ギュッと握られてドキドキしていたら…
『っ、うわっ…!』
「ーっと…。」
…足場が少し濡れていた為
スニーカーだった私は滑って転びそうになったけど
すぐに昴さんが抱き止めてくれ、転倒することはなかった。