第17章 相似
『んーーー…ん?』
フッと目を覚まして体を起こすとそこは工藤邸の書斎で
寝起きのぼーっとする頭で机に突っ伏して眠っていた事を思い出した。
両手をグーっと上に伸ばし背伸びをしながら
目を覚ますために首を左右に倒していると、体に掛かっていた毛布が落ちた。
…あれ?毛布なんて掛けてたっけ…?
不思議に思いながら毛布を拾い上げると
私の座っていた場所の斜め後ろにある椅子に昴さんが座っていることに気づいた。
そして彼は私の寝起きの様子をずっと見ていたようで
肩を震わせながら笑っているようだった。
『なっ…!ちょっと昴さん!いるなら声かけて下さいよ!』
「ふふっ、すみません。
美緒さんの行動が可愛らしくてつい…ははっ。」
『〜〜〜っ!もう!ひどいです!』
それに昴さんの位置からだと絶対寝顔も見られてたよね!?
…最悪だ……恥ずかし過ぎる…。
ずっと笑っている昴さんを睨んでいると
彼は本を閉じて椅子から立ち上がり私に近づいて来た。
「美緒さんの寝顔、すごく可愛かったです。」
『!?またそうやって私の事揶揄って…
冗談はもう聞き飽きましたよ。』
「…揶揄ってなんかいませんし冗談でもありません。」
『え…?』
いつも穏やかな雰囲気を出している昴さんだけど
今はなんだか少し怖いオーラが出ていて椅子に座ったままでいる私の正面に立った。
「あなたはもう少し危機感を覚えた方がいい。」
『へっ?』
「男の前で寝顔を晒すなんて…襲われても文句言えませんよ?」
『え…襲、う…?
昴さんはそんな事する人じゃないですよね?』
言ってる意味が分からなくて
目をぱちぱちさせながら昴さんを見ていると
彼は大きなため息をついて私に顔を近づけてきた。
『ちょ…っと…昴さん?』
「あなたが僕の事をどう思ってるのかは知りませんが
僕は好意を抱いていない女性に可愛いなどとは言いません。」
『好…意…?え……え?』
なにこれ…
一体どういうこと?
何で私…
昴さんに告白されてるみたいな感じになってるの…?