第17章 相似
side 赤井
美緒が書斎に籠ってから
俺は女子高生2人と最近話題になっている
紙飛行機の謎を解く事になった。
その紙飛行機にはSOSの暗号が記されていて
なんとかその紙飛行機を飛ばした人物の居場所を突き止め、警察と救急隊に保護されたようだった。
そして、女子高生2人を見送った後
書斎にいる美緒の様子を見に行こうと思い
紅茶を淹れてから書斎に向かった。
コンコン、と一応ドアをノックしたが美緒から返事はなく
扉を開けると彼女は机に突っ伏して眠っているようだった。
起こさないように足音を立てず、そっと近づくと
腕の隙間から見えた美緒の寝顔。
この寝顔を見るのは美緒を抱いたあの日以来で…
もっとよく顔を見たくて
気がつくと美緒の顔に手を伸ばし顔にかかっていた髪を耳にかけていた。
『美緒…』
ここ最近
沖矢昴としてだが美緒と会う機会が増えた。
料理教室と称しているが、本当はただ俺が美緒に会いたいだけの口実だ。
最初は嫌がっているようだったが
美緒は相変わらず押しに弱くて、いつも料理のレシピを俺に優しく教えてくれる。
コイツは本当に人が良過ぎて時々心配になる。
…男が1人で住んでいる家にいつも1人でやってきて
何も疑わず今もこうやって無防備に寝ているんだからな。
寝顔を見つめながらそんな事を考えていると
美緒は少し身動いだ。
『ん………あか、いさ…ん…』
「…っ……馬鹿女…」
寝言で俺の名前を呼んだ美緒が
一体どんな夢を見てるのかは知らないが
そんな風に名前を呼ばれて…
美緒がまだ俺を思ってくれているのが嬉しくてたまらない。
…俺は顔を近づけて、露わになっている美緒の頬にキスを落とした。
そんな事をしても美緒は全く起きる気配がなく
コイツが風邪を引かないように
別の部屋から毛布を持ってきて肩にかけてから
俺は少し離れたところにある別の椅子に座り読書を始めた。
もう少しだけ…美緒の寝顔を見ていたかったからな。