第17章 相似
洗面所を出て女3人で通路を歩いている途中
蘭ちゃんが私に声をかけてきた。
「若山先生の分のウェルカムバーガーも
良かったら買ってきましょうか?」
『ううん、私は大丈夫。学校でお昼食べてきたから。』
蘭ちゃんと園子ちゃんはそのまま玄関から出て行き
私は昴さんがいるであろうリビングに向かった。
彼は最近話題の
都内に紙飛行機がたくさん落ちているニュースを立ったままテレビで見ており、私は後ろから声をかけた。
『あの、昴さん。
ちょっと書斎に行ってもいいですか?
借りていた本を返してまた続きの本を借りていきます。』
「ええ、どうぞ。
良かったらそのまま書斎で読んでいってもかまいませんよ。」
『え…?でも…』
確かにあんな静かな空間だったら
本を読むのはかなり集中できそうだけど…いいのかな?
「部屋は暖かくしてありますから
好きなだけ読んでいってください。」
『そうですか?じゃあ…お言葉に甘えて。』
「後で紅茶でも持って行きますね。」
昴さんにお礼を伝えリビングを出てから
私は書斎に向かい、椅子に腰掛けた。
…やっぱり私の勘違いだよね。
昴さんは確かに赤井さんに似てるけど顔も声も全然違うんだから。
それに赤井さんは昴さんみたいに
ニコニコするような人じゃなかったし。
1人でうんうん、と納得し終わってから
私は読書を楽しむことにして本の世界に入り込んだ。
そしてしばらく読み続けていると
暖かい部屋にいるせいで眠くなって来てしまい
少しだけ寝ようと本に栞を挟んで机に突っ伏した。