第17章 相似
『……。』
なんだろう…この違和感…
昴さんの推理に圧倒されたのもあるけど
なんか…すごくモヤモヤする…
推理をしている時の話し方は敬語だったけど…
なんだか…口調がまるで……
「美緒さん…?どうかしましたか?」
『っ!!いえ…何でもないです…。
私も洗面所お借りしますね?風邪が流行ってるので
手洗いとうがいをしてきます。』
「…そうですか……。」
何となく昴さんと目を合わせられなくて
そのまま洗面所に入った。
…思えば何度も似てるなって思った事はあった。
左利きなのも気になったけど
料理教室の時、作った料理を食べる時の仕草とか
身長も同じくらいだし立ち振る舞い方とか
時々香るタバコの匂いとか…
あとは時々すごく恥ずかしくなる事を
サラッと言ってくる意地悪なところとか…
さっき推理を話していた時は
私がストーカーに悩まされていることを見抜いた時の感じと似ていた。
なんだか最近昴さんといると
赤井さんといた時と同じようにすごく落ち着く感じがしていたんだ…
だから1人で悲しくなることも減ったのかもしれない。
ひょっとして…昴さんって……
『…いやいや!ないない。ありえない!』
「若山先生?どうしたんですか?」
『っ、ううん!なんでもない!私も洗面所借りるね!』
蘭ちゃんと園子ちゃんは私を不思議そうな目で見ている中
私はうがいと手洗いをした。
…ありえないよね…?
昴さんが…
赤井さんかもしれないなんて…。
そんな事を考えてしまう私は本当にどうかしている。