• テキストサイズ

《赤井夢》Happiness{R18}

第16章 料理




『うわ…ぁ…!すごい数の本!』


まるで一つの図書館のような円形をしたその部屋は
一つの机と椅子が置かれており、その周りの壁には本棚がズラッと並んでいる。


近くの本棚に近づいて本を見てみると
ほとんどが推理小説のようだが、歴史や科学、言語学などの知識本も置かれていた。


『あれ…この本の作者って…』

たまたま目に入った一冊の本。
手に取って立ったまま読んでいると、入り口の扉が開く音が聞こえた。


「美緒さん…こんなところにいたんですか。」

『あっ…!す、すみません!
トイレから出たら迷っちゃって…たまたまこの部屋に…』

「かまいませんよ。
それより美緒さんが持ってるその本…」

『はい!工藤優作さんの闇の男爵シリーズの一つです。
ここの家主さんの小説だったのでなんか読みたくなっちゃって』


普段推理小説なんて読まない私だけど
この本は最初の1ページを読んだだけですごく読みやすくて
続きが気になるほどにまでなっていた。


「良かったら持って帰ってゆっくり読んでください。」

『え…いいんですか!?』

「もちろんです。
私はすでに読みましたから遠慮はいりませんよ。」

『!!ありがとうございます!』


この本、すごく話題になってたから一度読んでみたかったんだよね!

ニコニコしながらその本を眺めていると
隣にいる沖矢さんの笑い声が聞こえた。


「美緒さんはすごく可愛らしい顔で笑いますね。」

『!?もう!
そういう恥ずかしいことは言わないで下さい!
っ、あ!そういえばカレーはどうしたんですか!?』

「もう15分経ったので今は火を止めてありますよ。」


…私はそんなに長い時間ここに籠ってたのか。



『じゃあ味を確認しますね!早く行きましょう!』

「キッチンまでの道は思い出しましたか?」

『…分かりません。案内して下さい。』

「ははっ、仕方ありませんね。」

『…〜っ!!』

この人…
優しそうに見えるけど中身はめちゃくちゃ意地悪だ!

沖矢さんの斜め後ろをついて行きながら睨んでるけど
彼は私の視線に気付いていながらもずっとニコニコしていた。



/ 617ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp