第3章 場周
バスは都内を走り続け、まだ止まる気配はない。
江戸川くんはこの状況を何とかしようとしてるのか
全く大人しくしていないし、犯人を怒らせてばかり…。
今後どうなって事が進むのかは分からないけど
きっとこのまま大人しくしていれば助かるはず…
しかしこの緊迫した状況のせいもあってか
私の熱はますます上がっていき、呼吸も荒くなってきた。
そんな私の様子に気付いている吉田さん達が心配そうな目で私をチラチラと見ている。
安心させるために作り笑顔を向けたけど
なんだか意識も朦朧としてきた。
そんな時…
「大丈夫だ。きっともうすぐ助かる。」
『…え……?』
声が聞こえた方向を見ると、
赤井さんが私の方へと視線を向けていた。
さっきの言葉は……私に対して言っていたの?
赤井さんは綺麗な翡翠色の瞳で私を見ていて…
彼の目を見ながらゆっくり頷くと
赤井さんは私から目を逸らし前に向き直った。
そしてその後すぐ
赤井さんと高校の男性教師が犯人達に前に来いと呼ばれ席をたった。
このバスはいつの間にか高速道路を走行しており、トンネルに入って車内が薄暗くなったところで、犯人達の声が聞こえてきた。
どうやら彼らはもうすぐバスから降りて逃げるつもりだと言うのが分かった。
トンネルを出たら江戸川くんが
阿笠博士と一緒にスキー板を抱えていて、それを爆弾だといい
「早く!!」と叫んでいた。
…何が早く何だろう……?
こんなことなら勧められたコナンの漫画
ちゃんと読んでおけばよかったな…と思っていると
バスは急ブレーキがかかり、車体が激しくぐらっと揺れてそのまま停車した。
頭をゴツっと窓にぶつけたてしまった私は
熱でぼーっとする頭じゃ何が起きたのか考えられなくて…
乗客の1人だと思っていた女の人が実は犯人達の仲間で
腕につけていた爆弾の起爆装置が作動してしまい
すぐにバスから降りようと全員が立ち上がっていた。
「おい、立てるか?」
『…あ…はい…大丈夫です…』
いつの間にか私の目の前には赤井さんが立っていて
腕をグッと引かれて一緒にバスを降りた。