第3章 場周
病院は次の停留所か…もうすぐだなって思っていると
子供達の知り合いらしい男性と、外国人の女性が乗車してきた。
「Hi!クールキッド♡また会いまーしたねー!!」
すごく元気のいい声で話す女性は
どうやら江戸川くんが一緒に住んでいる毛利探偵の娘さんが通う高校の英語教師…
そしてその連れの男性も同じ高校で校医をしているらしい。
美男美女だなぁ…とぼーっと見ていると
ニット帽を被り、マスクをした男性が咳をしながら私の席の隣に腰掛けた。
……ん?
いやいや、ちょっと待って。
なんかこの流れ聞いたことある。
……それに私の隣に座っているこの男性…
あの人だ…
FBIの赤井さんって人!!
前世で顔写真を見せてもらったから間違いない…!
ニット帽がトレードマークだって聞いたこともあるし!
うわぁ…
本物だーと思っている時にまた新たに一つ思い出した。
そうだよ…
赤井さんがバスで登場するのって確か……
『!!』
思い出す頃にはもう遅くて
バスの乗車口付近に目を向けると、スキーのウェアを着てゴーグルをつけた男2人が立っていた。
「騒ぐな!!騒ぐとぶっ殺すぞ!!」
…やっぱりバスジャックの事件!!
持っていたスキー板の中から拳銃を取り出した男達は
騒ぎ立てる乗客に対して天井に一発威嚇射撃をしていた。
…熱でただでさえ頭がクラクラしてる時に
大きな銃声は頭に響く…。
大人しく窓にもたれながら様子を見ていると
犯人達は乗客みんなが持っているスマホなどの通信機器を出せと言ってきた。
私も大人しく犯人にスマホを差し出したけど
隣に座っている赤井さんは…
「おい、そこのお前も早く出せ!」
「すみません、ゴホッ、スマホ持っていないんですよ。
自宅に忘れてきたみたいで。」
…本当かな?
赤井さんってかなり頭が切れる人って聞いていたのに
そんなおっちょこちょいなところもあるの?
…あー、ヤバいな。
色々思い出しながら考えていたら熱が上がってきたみたい…