第16章 料理
先週と同じように呼び鈴を鳴らすと
沖矢さんがすぐに出てきて私を迎え入れてくれて
そのままキッチンに向かった。
「美緒さん、今日はよろしくお願いします。」
『いえ、こちらこそ。
それで今日はなんの料理を教えればいいですか?』
「初回なので定番のカレーにしようかと。」
確かにカレーなら冷凍もできるし
たくさん作っても保存が効くからなー。
一人暮らしの彼にとっては丁度いいと思う。
『じゃあさっそく始めましょうか。』
自分で持ってきたエプロンをつけて
肩より下くらいまである髪を結んでいると沖矢さんの視線を感じた。
『?どうかしました?』
「いえ…
美緒さんのエプロン姿が可愛くて見惚れてました。」
『なっ…!何を言ってるんですか!?』
この人は…!
いつも急に変な事言い出すんだから!!
「本当のことしか言ってませんよ?」
『あんまり変なこと言うと帰りますからね…』
「あはは、それは困るので気をつけます。」
気を取り直してカレー作りに取り掛かろうと思い
並べられた材料をいくつか選んだ。
工藤邸のキッチンを見渡すと様々な調味料が揃っていたので
本格的なカレーを作る事ができそうだった。
『じゃあまずは材料から切りましょうか。』
私はじゃがいも、昴さんは玉ねぎを切ることになった。
私がじゃがいもの皮を包丁でスルスルと剥いていると
隣でそれを見ていた昴さんが驚いていた。
「ピーラーで剥くより早いですね…流石です。」
『あはは、包丁で剥くのが好きなだけですよ。』
…前世で料理人の見習いだった時はじゃがいもの皮剥き100個とか毎日させられてたからな。あの頃が懐かしい。