第15章 空虚
「あの沖矢さんって人…
若山先生のこと好きになったんじゃない!?」
「やっぱり歩美ちゃんもそう思いました!?」
「あの兄ちゃん、先生のことずっと見てたもんな!」
『…いやいや!何言ってるの!?
今日会ったばかりなのにそんな訳ないでしょ?』
やっぱりロクな事じゃなかった…
本当に子供って変な勘違いするんだから!
でもジッと見られていたのは事実で
話してみたいとか言われたのもみんな聞いてたし
勘違いされるのも無理ないか…
「えー…でも本当に先生のこと見てたよ?」
「絶対意識してると思いますが…」
「オレ達の勘違いか…?」
「あの人、先生に一目惚れしたんじゃないかしら。」
『もう!そんな訳ないでしょ?沖矢さんにも失礼だから
あの人の前で絶対そんなこと言っちゃだめだよ?』
「「「はぁーい…」」」
『うん、みんな素直でよろしい。
じゃああの2人が帰ってくるまで私が作ってきたお菓子食べる?』
「「「食べるーっ!!!」」」
持ってきたお菓子の入れ物を机の上に出すと
みんなは美味しいと言いながら凄い勢いでパクパクと食べてくれた。
みんなが食べてる様子を見ながら待っていると江戸川くんと沖矢さんが戻ってきたので
私たちは開人くんの病院へ向かうことになった。
みんなと一緒に外に出た私を
沖矢さんが見つめていたことに私は全く気づかず…
それに唯一気付いたのは、江戸川くんだけだったようだ。