第15章 空虚
『じゃあ…白い人って…救急車のこと?』
「そう…さっき若山先生に絆創膏を渡した
細井さんが白い人だよ。救急車からは怪我人や病人が連想できるしね。」
…そういえば開人くんの日記にも
転んじゃって白い人がいてくれてよかったって書いてあったから、たぶん開人くんも私と同じように絆創膏を貰ったんだね。
「残る黄色い人ってーのは…
ブルドーザーとかショベルカーとかの建設機械の車だな。」
「うん。黄色い人はさっき話を聞いた時に見た
指の爪に土が入ってる……フリーターの真壁さん、
あなたがこのアパートを放火した黄色い人ってわけさ。」
江戸川くんは全てを見抜いており
開人くんが言っていた夜な夜な怪しい事をしているって証言と真壁さんの爪に入った泥を見て
彼がこのアパートの庭に大事な何かを埋めていると推理していた。
「趣味で株とかを取り引きするデイトレードやってるって言ってたし、それで儲けたお金なんじゃない…?」
「…あ、ああ。アタッシュケース2個分で…
ざっと2億円くらい…かな。」
「「「っ、2億!?!?」」
真壁さんの話によると、
そのお金を開人くんの父親である大家さんに見つけられ
しつこくお金のことを聞いてきたからイラついて階段から突き飛ばし火をつけて逃げたそうだ。
「全部燃やしちゃえば…
何もかもリセットできると思ったんだ…
お金は後で掘り起こそうと思って…元の場所に…」
『リセット…?あなた何を言ってるんですか…?』
「え…?」
突然言葉を発した私のことをみんな驚いて見ていたが
私は怒りで頭に血が昇っていて…
周りは全く視界に入っていなかった。