第15章 空虚
翌日ー…
悲しい気持ちを押し殺し、今日もいつも通り学校に行き
可愛い生徒達と過ごし何事もなく1日を終えた。
『じゃあみんな、宿題はちゃんとやってくる事。
また月曜日に学校でね。』
「「「はーい!!!先生、さようならー!!!」」」
『さようなら。気をつけて帰ってね!』
生徒のみんなを見送り、職員室へ向かう途中
忘れ物をしたことに気づき再び1年C組の教室に戻った。
教室にはもう生徒は誰もいなくて
黒板の近くにある机の上に私の筆記用具入れが置いてあった。
『やっぱり置きっぱなしだった…
…よし…戻るか。』
忘れ物の筆記用具入れを手に取り、教室を出ようとしたら
扉の前に江戸川くんが1人でポツンと立って私に目を向けていた。
『江戸川くん?どうしたの?』
「若山先生、大丈夫?」
『…大丈夫って…何が?』
「……ううん。やっぱり何でもない!
先生さようなら!」
……大丈夫って聞いてきたって事は…
江戸川くんも赤井さんが亡くなったことを知ってるんだよね?
それに…私と赤井さんの関係もきっと何となく気付いているんだろう。
まぁ別に…恋人だった訳じゃないんだけどね。
廊下に出るともう江戸川くんはいなくなっていたが
扉の近くにサッカーボールのキーホルダーが落ちていた。
『これ…江戸川くんのかな?』
確認しようと思い彼の後を追いかけて生徒達の下駄箱のある場所に向かうと、そこにはいつもの少年探偵団のみんなと1人のA組の生徒が集まっていた。
「あ!若山先生!」
『みんな今から帰る所かな?』
「はい!先生はどうしたんですか?」
『あ、そうそう。これって江戸川くんの?
さっき教室の扉の近くで拾ったんだけど。』
「ううん。これ僕のじゃないよ。」
『そっかー…。』
じゃあうちのクラスの生徒の物かな…?
残念ながら勘違いだったので、みんなに挨拶をしてそのまま職員室に向かおうとしたらA組の生徒の子に引き留められた。