第14章 残酷 ✴︎
「急に来てすまないな。」
『いえ…こんな時間に来るなんて珍しいですね。
…中どうぞ?』
「ああ。」
部屋に招き入れた赤井さんは
なんだかいつもより元気が無いように見えた。
目の下のクマはいつものことだけど…
何かあったのかな?
真っ直ぐリビングに向かって行った赤井さんは
ソファーに腰を下ろし、私の方へ顔を向けた。
「今日…仕事はどうしたんだ?」
『あ…今日はたまたま午後から休みをもらって…』
「そうか……。話がある、美緒も座ってくれ。」
『話…ですか…』
どうしよう……
嫌な話をされる気しかしない。
でも話があると言った時の赤井さんはとても辛そうな顔をしていて…
そんな顔を見たら聞きたくない、だなんて言えなかった。
私はいつものようにソファーの淵に座り
赤井さんと私の間には相変わらず少しスペースがある。
膝に置いた手をギュッと握りしめながら赤井さんが話し出すのを待っていると、
彼は少しの沈黙の後、口を開いた。
「美緒……俺はもうここには来ない。
お前と会うのも…今日が最後だ。」
…。
ああ…やっぱり嫌な話だった。
だから聞きたくなかったんだよ…
そんな話をされるって分かってたら
家に上げず追い返していたのに…