第14章 残酷 ✴︎
今日は13日の金曜日。
日本ではあまり意識されていないみたいだけど
海外では縁起が悪い日、不吉な事が起こる日と言われている。
今日は午前中は仕事だったけど、
午後は授業が無かった為、半休をもらい家にいる。
もうすぐ日が暮れる時刻…
たまたまつけていたテレビの番組で
13日の金曜日が不吉だと言われている諸説がいくつか解説されているが、今の私にはそんなテレビの内容も全然頭に入ってこない。
私の頭の中は昨日聞いたジョディさんと江戸川くんの話…そして赤井さんのことでいっぱいだ。
『赤井さんの彼女だった明美さんの妹が
灰原さんって事なんだよね…』
灰原さんが組織の科学者で、本名が宮野志保っていうことは知っていた。
そしてお姉さんを殺された灰原さんは
自ら命を絶とうと、工藤新一が飲んだものと同じ薬を飲んで体が幼児化していたことも前世で聞いた事があるから知ってた。
でも私は灰原さんのお姉さんの名前を昨日まで知らなくて…
もしその事を知ってたら
私は赤井さんのことを好きにならなかったのかな?
たぶん…
いや、絶対好きになっていた気がする…。
むしろそんな気しかしない。
例え赤井さんに大事な人がいたとしても
私はこの気持ちを簡単に無くすことなんて出来ない。
それくらい赤井さんの存在が私の中で大きくなってしまったんだ。
『赤井さん…会いたいです…』
ボソッと独り言を呟きソファーに座ったまま膝を抱え蹲っていると、家のインターホンが鳴った。
『?誰だろう……え!?』
インターホンのモニターを覗き込むと
そこには悩みの種である赤井さんが立っていた。
…いやいや!会いたいとは思ってたから嬉しいんだけど
昨日キスをした相手と普通に話せる自信ないよ…!
どうしよう…と困っているともう一度インターホンが鳴ってしまったので、彼を待たせるのも悪いと思い、急いで玄関に行き扉を開けた。