第13章 病院
ボウヤと一通り話し終えると
本当に俺と考えていることが大体同じで2人の作戦を合わせることになった。
「ボウヤにはいつも驚かされるな。味方でよかった。」
「僕も…赤井さんが味方で良かったと思ってるよ。
あと…一つ聞きたいことがあるんだけどいい?」
「美緒のこと…だろ?」
きっとボウヤは俺が先程美緒を追いかけて行った様子を見て、俺の気持ちに気付いたんだろう。
これから2人で考えた作戦を実行するとなると…
美緒には…もう会えない…
きっとボウヤはそれを分かっていて心配しているんだろう。
「赤井さん…ボク最初は若山先生のこと疑ってたけど
今はもう信用してる。あの人…本当にいい先生だから…
赤井さんだって分かってるでしょ?」
「ああ…嫌というほど分かっている。」
美緒はいつも腹を空かして急に家を訪ねてくる俺に対して
美味い飯を食わせてくれた…
俺の仕事も素性も気になっているはずだが
何も聞かず、嫌な顔一つせずに家で休ませてくれた…
ただ美緒に会いに来る口実だったにも関わらず
アイツはそんな俺の考えなんか疑いもせずに
ちゃんと食えだの、ちゃんと寝ろだのお節介ばかり焼いていた。
それがたまらなく嬉しかった。
美緒と過ごしたこれまでの時間…
どれだけ体が休まって、気持ちが癒やされたのか分からない。
「若山先生に…気持ちは伝えないの?」
「大人はな…好きだという気持ちだけではどうにもならないこともあるんだ。
俺とアイツでは…住む世界が違いすぎる。」
「っ、確かにそうだけど…」
「美緒はバカなところもあるが、芯の強い女だ。
俺がそばに居なくても…きっと大丈夫だろう。」
本当は…会えなくなるのが辛い。
だが今は俺の気持ちを優先するわけにはいかない。
頭ではそう分かっているのに…
なぜ俺は美緒にあんな事をしたんだ…。