第13章 病院
『盗み聞きしてしまってごめんなさい…。
…誰にも言いませんから…失礼します…!』
「先生!」「美緒!」
2人の制止の声が聞こえたが
私は聞こえないフリをして病院の出口まで走った。
病院を出た所で乱れた息を整えていると
思い出してしまうのはさっきのジョディさんと江戸川くんの会話…
『…あはは、馬鹿だな、私。』
勝手に赤井さんを好きになって
時々一緒にいれるだけで幸せだなんて言い聞かせて…
赤井さんが大事に思ってる人がいることなんて分かっていたはずなのに、なんでこんなに傷ついているんだろう…
本当に馬鹿だよね…私。
走って乱れた呼吸はもう落ち着いたのに、ずっと胸は苦しいまま。
自分がこんなにも赤井さんに惹かれていることを思い知らされ、自嘲的な笑みが溢れた。
『…帰ろ。』
病院の入り口を出てバス停に向かって歩いていると
後ろから足音が聞こえてきて誰かに腕を掴まれた。