第13章 病院
「どうしてその彼女、組織に殺されたの?」
「シュウから聞いた話によると
組織を抜けようとして消されたらしいわ。」
「なんでそんな人と赤井さんが…?」
「それは組織に近づくためよ。
5年前から2年前まで上手く組織に潜入してたんだけど
FBIだってことがバレちゃってね…」
「でも殺されたのは数ヶ月前なんでしょ?
どうして2年前には殺されずに済んだの?」
「その彼女の妹が組織の科学者で重要な人物だったから
しばらくは手が出せなかったみたい。
でも組織はシュウを引き込んだ彼女のことを野放しにするわけがなくてね…。」
「…その亡くなった女の人の名前って?」
「確か…宮野 明美って言ってたわね。」
『!?』
嘘……
じゃあ赤井さんが呟いてた…明美って……
「シュウは彼女を利用して組織に近づいたんだけど
彼女はその事を知っても彼のことが忘れられなかったんだと思うわ。
それに彼女を亡くした時の様子から察すると
たぶんシュウも…彼女のことを…」
やめて……
その先は言わないで……!
盗み聞きしているくせに聞きたくないだなんて
私はなんて自分勝手なんだろう…
ズキズキと胸が痛み、心臓がどくどくと嫌な音を立てて
ゆっくり扉から後退ると私のカバンが壁に当たり物音を立ててしまった。
『あ…』
「っ、誰!?」
物音に気づいた江戸川くんがドアを開けて
私と目が合うと目を見開いて驚いていた。
「若山先生!?」
「ちょっと美緒、あなたこんな所で何してるのよ!」
『ご、ごめんなさい…
友人の見舞いに来て帰る所で…たまたま2人の声が聞こえて…』
「ひょっとして…今の話聞いてたの…?」
恐る恐るそう尋ねたジョディさんの顔は
私には聞いてほしくなかった、というような表情で…
さっきの話は本当のことなんだと思い知らされた。