第5章 塀の先には…
入れと言葉と同時に開かれた部屋の扉。中には明らかに家の長っぽい雰囲気の男性がいた。この人がキルア君のお父さん?
藤(…何人も殺ってる匂いだな)
「…」
私達は静かにその人を捕らえた
「キル…友達ができたって?」
キ「……ああ
こいつもその内の一人だよ」
キルア君が隣に立つ私を紹介してくれた
「…シルバだ。
イルミから詳しい話は事前に聞いている、キルアが世話になったな」
「……いえ」
この人の猫のような、狐のような鋭い瞳孔を見ていると背中に寒気が奔る。長く一緒にはいたくない
次に発せられる言葉を唾を呑みながら待つ。この時間が妙に長く、苦痛に感じる
シ「キルア、こっちに座れ」
キ「え?」
シ「ハンター試験での話、お前の口からきいてみたい。
よくよく考えれば生まれた頃から父親らしいことは何もできなかったな」
拍子抜けした。この家族の中で次期の事を一番考えている人はこの人だと思っていたが…
本当はキルア君には優しいのかな…
そう一瞬思ってしまうくらい、場の流し方が上手かった
キ「でさ、「ここで退いたら一生会えないから」ってさ。馬鹿だよな!!」
シ「ははは、面白い子だな」
そんなことも露知らずゴン君の事を楽しそうに話しているキルア君
シ「キルア、友達に会いたいか?」
キ「…」
シ「分かっている、お前が暗殺業にうんざりしていることは。
そこの子も連れて行きたいんだろう」
キ「…!いいのかよ、あんだけ執着してた癖に」
シ「責任を負わせるには若すぎたようだな、その子にも、お前にも」
「……」
シ「ただ、これだけは約束しろ。
仲間は裏切るな、絶対にだ」
自身の親指に歯を立て、血を流した。キルア君も同様に
キ「ああ、約束する」
無事関門を突破したことでお互いに肩を撫でおろした
キ「なんか、拍子抜けだったな…」
「うん。もっと頭ごなしに叱ってくると思ったのに…
ってことは…私もキルア君と一緒に出て良いって事なのかな」
キ「そうだろ、多分」
「良かった…ちゃんときくの元に帰れる。
ありがとう、あの時庇ってくれて。あのままだったら…流されてたかな」
あの時の事を思い出すと…自分の可笑しさに笑えてくる
キ「ッ…!
別に、お前まで”様”付けされるのは勘弁して欲しいって思っただけだよ///ほら、急ぐぞ」
「素直じゃないなあ」
