第5章 塀の先には…
キ「……そうして…どうするつもりなんだよ…」
キルア君がギロリと睨み上げるとキキョウさんは続けた
キキョ「……「あの子からは同じ匂いがする。勿論兵器だからってこともなるけど、ゾルディック家を支える器として充分なんじゃないかな」
イルミからはそう聞いてるわ」
キ「((ギリッ」
悔しそうに歯を鳴らす
キキョ「で、そちらはどうなの?
その様子だと未だ亡命を続けているようだけれど、このまま逃げ続けても無意味ではないかしら」
「わ、私は…」
一方の私と言えば何と答えるのが正解なのか導きだせずにいた。
藤(断れ。拷問される心配があるなら俺が変わってやる)
藤の助言でようやく断る意が決まった時、
悪魔の囁きは訪れた
キキョ「貴方…確か妹さんがいたでしょう」
「!」
キキョ「後継者候補とは言え、それを連れて逃げるなんて足手まといでしかないのに…余程大切なのね。
その姉妹愛、素晴らしいわ。キルにも見習って欲しいくらいよ」
「何が…言いたいんですか……?」
キキョ「尚更不思議なのよ、
どうして貴方は今の今まで逃げ続けたのか。貴方には打ち返す力がある筈なのに…
もう潮時なのではないの?
これ以上苦い生活をするのはこりごりでしょう?
こちらに引き入れられれば妹さんの安全は保障します」
そうだ、
私はなんで…逃げてるんだろう…
追手だって私の手にかければ、ひとひねりなのに…
なんで自由を求めてるんだろう…
藤(揺らぐな!これ以上罪を重ねる必要なんてない!)
でも、そしたら、
一体誰がきくを守ってくれるの?
ゴールが見えない鬼ごっこの中で、恐怖と背中合わせの時を一体誰が望むというの?
まだ駄目なの。分かってる、きくは強い子だから、そっとやちょっとの事じゃ弱音は吐かない。あの子が不自由ない暮らしでなくちゃいけない
あんな雑魚相手に…私は何を恐怖に感じる必要があるの?
「あ…」
キ「止めとけ、ビオラ」
「!」
キ「ここは他とは違う。建前上は保護って言ってるけど、一度足を踏み入れれば殺し屋だ。
お前の気持ちとか、意思とか尊重される筈ない。俺みたいにな
お前まで手を汚す必要なんかない。
せめてお前達だけは…お前らしく生きてくれよ」