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タカラサガシ【キルア】

第5章 塀の先には…


「…」

その姿に言葉を失った。大柄の人に何度も鞭打たれ、身体は幾つもの青い痣を作っている。何よりも周囲の人達がその様子に何も動じない異様な光景が一番の恐ろしさだった

「何を…してるんですか…」

「見て分からないの?拷問だよ」
隣に立っているおかっぱの少女がここで初めて口を開いた
「兄さんはお母様と兄さんを刺して家を出て行ったから、一応罰。
怪物の癖にそういう耐性は意外とないんだね」

「………違う…私は違う…」






キキョ「さて、キルアも少しは反省したかしら」
「全然駄目だよママ!さっきだって俺に舐めた口聞くし」

彼女は大柄の人を兄さんと呼んでいた。そして、ギラタクル、またの名をイルミはキルア君が母親と”ミルキ”を刺した、と言っていた。思うところ彼が、なのだろう

二人の会話に徐に顔を上げたキルア君と視線が交わった

キ「なんだ、来てたんじゃん。なら起こせよなーミルキ」
ミ「何!?」


「あの、私は何の為に呼ばれたんですか…」

私が本題に戻すとキキョウさんの視線がこちらを捕らえた。

キキョ「ミルキ、この子を拘束しなさい」
ミ「え、はいママ」

ここに連れてこられたという事はやはり予測していたことだが…
鎖がじゃらりと音を立てた


キキョ「貴方は本当にキノイチの長女なのですね?」

「…はい」

キキョ「そんな貴方に一つ提案があります。


我が家の養子になりませんか?」



「え」
キ「は?」


何を…言っているのだろう…


ミ「え?ってことはこいつが兄ちゃんが言ってたやつ?へー…」
その途端に舐めるように観察された

キ「何言ってんだよ、家系にうるさい家が…頭でも狂ったのか?」
二人を威圧するようにキルア君が反論する

キキョ「異例なのよ」
キ「異例?」

ミ「お前まさか知らないのかよw
こいつは十年前に亡命した闇研究組織の後継者だぜ?


それに、噂が正しければ、その長女には特別な物が埋め込まれてるとか…」

「…!」

ミ「人体兵器、だっけ?特別な細胞で身体自体を強化することで島一つ破滅することができる。まだ非売品だから高く売れるんじゃない?」

キキョ「馬鹿言いなさい、複製能力がない今は売るよりもずっと価値があるのよ。

まだ”あれ”が使えない間は執事として働けばいいわ」
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